昔話

昔話

個人的に身バレが困る話になるので、ここでの内容はできるだけ、お心のなかだけで止めておいてくださいね。

4月29日(実際には28日)、「孔雀王」のヒットでオカルト漫画、青年誌コミックを牽引された漫画家、荻野真先生が、令和を迎えるまえに59歳という若さで他界されました。

ここ見られる方はほぼ生知人なので、すでにご存知かと思いますが、わたくしその昔、漫画アシスタントで一箇所だけ専属契約してたことがありまして、それが荻野先生のところになります。

思い起こすにわたしが事務所を退職した当時から、心臓の調子が悪く仕事がしんどいから減らしたいとのことで。なのでこの機会に辞められるやつは辞めてくれという話だったのです。
わたしと戸田泰成先生、駕籠真太郎先生がそこで事務所を抜けました。その後も年賀状や、残ってたアシさんから、体調がずっとよくなかったのは聞いていたんですが、近年はさらに危険な状態に何度かなっていたので、お見舞いにいかないとなぁと思っていた矢先の訃報でした。

お通夜の精進落としでアシスタントを続けていた同僚陣から教えてもらいましたけれども、2本の連載中作品を入院中でありながら完結させたとのこと。お人柄も含めて漫画家の鑑だなと思います…。

公式サイトには、その当時のことも含めて、息子さんが闘病時の様子などを公表されています。
http://www4.airnet.ne.jp/kujaku/

先ごろ、その最終巻も発行されました。
https://www.leed.co.jp/9784845854905
https://csbs.shogakukan.co.jp/book/?comic_id=31419
この機会にぜひ孔雀王全シリーズ読破をよろしくお願いします…。

漫画家としてどのくらい一世風靡があった方だったのかまとめられています。先生をよくご存知でない方へご参考までに。
https://togetter.com/li/1353822


また昨日ですが、百箇日法要を兼ねたかたちで、集英社が主催し偲ぶ会が「高野山(東京別院)」で行われました。

弔事は、先生がデビュー前アシスタントでいってらした先のもりたじゅん先生、デビューから長い間担当編集だったT・J氏(わたしがいってた頃も出戻りで担当してた方になります)、先生の奥様からありました。
まぁまぁそのあとのアシスタント仲間やご親族との話でも同じ話題で盛り上がったのですが、担当氏の弔事が恨み節で(笑)とにかく先生の話がいつも止まらなくてはんぱなく長くて付き合うのがしんどかったっていう。話し始めると2〜3時間以上があたりまえで、担当氏はもうそれこそ毎週のように夕方打ち合わせにくると朝までがふつうにあったとか、アシスタント連も仕事の入りの連絡電話のついでに何時間も話しこまれたりとかですね。とにかく知識も豊富で頭も良くて、話題が尽きない方だったので…。戸田くんのスレッドにも先生の人となりなどコメントがありますのでご参考までに。

会場に戦国転生で起こしたラフのクロッキーが2冊。
先生がこんなにラフを重ねるとはぜんぜん知らなかったですね…。
全部お見せしたいくらい、すごいすばらしい絵がたくさんありました…!!
眼福!

わたしが行ってた当時ですが、だいたいネームが完成してからアシスタントが集められて、先生も一緒に同じ部屋でずっと作画作業するわけです。で、テレビなしでラジオはついたりついてなかったり、おおむね先生が話題をふるっていうか、やっぱりずっと喋り続けてて、話し相手に捉まると描きながらお相手しないとならないのでわりと大変なことに(笑)。
わたしの場合、午前中は他のアシさんたちは明け方までやっててまだ寝てるから、先生とふたりきりなのを眠い頭で凌がないとならないっていう試練があって(笑)。先生にばかり喋らせるわけにもいかないから、通勤中とかに雑誌読んだりしてネタをためておいたりね。で、先生は活字中毒で新聞とか週刊誌とか端から端まで毎日読むような人だったから、先生が「へー」とか「それは知らなかったなぁ」とか、そういうネタを探すのがまた苦労だったんですよ。なんか今思うと良い頭の訓練だった気もするけども。

それはともかく、陽気な体育会系でぜんぜんインドアなところがない方だったので、睡眠不足でしんどいってこと以外は終始いい雰囲気の職場だったと思います。まーでもそれはわたしがいた当時のことで、それ以前の無印孔雀王の時代はわりと伝説級に凄まじかった話なども当時のアシスタントをされてた先輩方にたくさん聞きましたけれども。けど先生もお若い頃の話だしねっていう。

偲ぶ会のあとはご自宅と事務所のあるマンションに久々に寄らせてもらって、同僚や先輩と思い出話たくさんして、奥様ともさらに先生のお話とか聞かせてもらって、ちょっともうここには書ききれない面白逸話が山ほどあったりするんですけれども。とにかく語るとお話の尽きない方でしたね。当時、やっぱり漫画家ってこういうオカシな(すいません)なんだかものすごい人が成れるものなんだよな。ってしみじみ思ってたことをあらためて思い起こしました。

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